医療分野のドローン活用について、2021年8月~11月に掲載したブログ「医療分野におけるドローンの活用」で、4回にわたってご紹介しました。
今回注目する「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」は、2021年6月に内閣官房、厚生労働省、国土交通省より策定されたものです。2023年3月にはその改正版が、厚生労働省および国土運輸省より公表されています。
改正版では、以下を対象としています。
- ・医薬品販売業者または薬局が、医薬品販売業者、薬局または医療機関に対して、ドローンを用いて医薬品を配送する場合
- ・薬局または医療機関が調剤された薬剤を、患者に対して、ドローンを用いて配送する場合
まずは基本事項として、「GDPの遵守」や「事業計画及び業務手順書の作成」等、医薬品販売業者/薬局から、医薬品販売業者/薬局/医療機関に対して医薬品を配送する際の留意事項を説明しています。さらに、薬局から患者に対して薬剤を配送する際の留意事項や、医療機関から患者に対して薬剤を配送する際の留意事項も追記しています。
前提となるのは、以下の項目です。
- ・配送する医薬品の品質や安全性の確保、配送先の事業者または患者への速やかで確実な授与、および患者のプライバシー確保等の観点から配送手段を比較し、ドローンを用いた医薬品の配送が最も適切な手段と考えられる場合に限ること
- ・サービス提供地域における医療提供関係者と綿密に連携・協議の上で、医薬品配送事業に係ること
温度管理の担保や振動・衝撃等によって製品の品質が保たれること、通常の配送と同程度の振動・衝撃であることを担保すること等が記載されており、以前のガイドラインに比べて責任が明確化されています。また、以前のガイドラインでは劇薬は配送しないとされていましたが、今回の改正では「関連法令を遵守する他、安全性の確保等においてより慎重な取扱いが必要であることに留意する」とあり、限定的に認めることとされています。チェックシートも付属され、より明確なガイドラインとなっています。
ドローンを用いてどのようにGDPを順守していくのか、難しい点はありますが、日本の医薬品分野でも着々とドローンの活用が進展しているようです。