生体試料の輸送、とくに感染性が明確にあるものや感染性が否定できない検体の輸送に関する海外の文書について、前回に引き続きお伝えします。
今回ご紹介するのは、NHS(National Health Service:英国国民保険サービス)下の医療機関であるオックスフォート大学病院NHS財団トラスト(Oxford University Hospitals NHS Foundation Trust)が公開している、「Directorate Specimen Transport Protocol」という文書です。
この文書には、当該医療機関のラボに検体(標本)を送る際に守るべき手順が記載されており、従うべき規制から具体的な輸送方法(業者)やタイムスケジュールまで網羅されています。個別の組織において、検体輸送に関する手順書を作成する際にも参考になると思われます。
前回ご紹介したハーバード大学のガイダンスと比較すると、手順書であるためか、輸送容器からの漏れが発生した際にどうするかといった、より具体的な記述が目立ちます。
なお、この文書にも記載されている通り、ヨーロッパで危険物を陸送する際は、European Agreement on the Transport of Dangerous Goods by Road(ADR)規制に従う必要があります。