これまで本ブログでは、感染性のある生体試料・検体の輸送における、大学や研究機関のガイダンス、手順についてご紹介してきました。
今回は、生体試料や検体と同じく規制の多い治験薬の配送について、実際に大学や研究機関が輸送に関してどのような取り扱いをしているのか(どんな手順が定められているのか)を調べてみましたので、少しご紹介します。
2021年7月7日のブログ記事で、ハーバード大学の検体輸送のガイダンス文書「Transport of Biological Materials, Infectious Substances and Dry Ice」についてお伝えしました。今回ご紹介するのは、同大学の関連医療機関であるDANA-FARBER / HARVARD CANCER CENTERの治験薬移送に関する文書です。
DANA-FARBER / HARVARD CANCER CENTERは、治験に関連する文書を「DF/HCC Policy and Operation Library」にまとめています。同ページ内「Investigational Product (INV)」の項目にある「INV-101: Transfer of Investigational Drug」が、治験薬移送に関する文書です。
この文書には、治験薬をDANA-FARBER / HARVARD CANCER CENTERのサイト外に移送する際の手順等が記載されています。
スポンサーから受け取った治験薬を他のサイトに移送することは、基本的には好ましくないとする背景が共有されたうえで、それが必要となる状況もあり得ることに言及しています。また、その場合、スポンサーの承諾や国内・州の規制への適合を大前提として治験薬の移送を認めると記載されています。
具体的な手順は本文書をご参照いただくとして、輸送の観点からは以下がポイントとなりそうです。
・受け入れ側に知識があり受け入れ準備が整っていることを確認し、文書化する
・中身(治験薬)の性質が特定されないような外箱の表示とする
・郵便を使わない
ご参考になれば幸いです。