今回は、ヒト組織と素性が異なる「便検体」の輸送のガイドをご紹介します。
米国のCDCは、同機関のウェブサイト「公衆衛生上懸念される寄生虫の検査室での同定(DPDx - Laboratory Identification of Parasites of Public Health Concern)」のなかで、「便検体の輸送(Stool Specimens – Shipment)」について説明しています。
この説明によると、便検体の輸送に求められる要件は以下の通りです。
- ●検体の量が50ml以下の場合
・水密チューブ、バイアル等の密閉された一次容器に入れ、さらに耐久性のある水密の二次容器に入れる。
・一次容器の内容物や保冷剤の漏れに備え、十分な吸収材を一次容器の周囲に置く。
・段ボール、厚紙、木材等の材料で作られた外側の輸送容器に入れ、「病因物質 – 生物医学材料(Etiologic Agents – Biomedical Material)」のラベルを貼付する。 - ●検体の量が50mlを超える場合
・前記の要件に加え、衝撃吸収材を二次容器の周囲四方に配置する(その衝撃吸収材の体積は、一次容器と二次容器の間に設置した衝撃吸収材等の体積を超えること)。
・一つの輸送容器に入れる検体の最大量は、4000mlを超えないようにする。 - ●「保存液中の便検体(Preserved Specimens)」に対して「保存液のない便検体(Unpreserved Specimens)」の場合は、上記の要件に加えて清潔な容器で迅速に冷蔵保存し、輸送中も検体の保冷を保証できる保冷パックの梱包資材を使用する。
便検体に特化した数少ない説明文書ですので、ご参考になれば幸いです。