今回ご紹介するのは、カナダの規制当局「Health Canada」が2020年に公開した「Guidelines for environmental control of drugs during storage and transportation(GUI-0069)」です。
このガイドラインでは、カナダのGMP規制の要件に基づき、医薬品(人体用、獣医科用、臨床試験薬等)の輸送と保管における環境管理の要点を「原則(principle)」と「解釈の仕方(interpretation)」に分けて説明しています。
- 適用範囲は以下の通りです。
- ・人体用、獣医科用、臨床試験薬等
- ・医薬品の保管および輸送に携わるすべての者(製造、包装、販売、輸入、卸売等)
- ※原薬(Active Pharmaceutical Ingredients:API)の管理においても参考になる記載があります。
- ※輸血用血液や細胞・臓器の移植に関しては範囲外との記載があります。
- Section 5には、実行すべき具体的な内容が以下のように示されています。
- 5.1 Warehousing and storage
- ラベルに従った温度での保管。認定された保管設備の利用。温度をモニターして記録を残すこと等
- 5.2 Product transportation
- 品質リスク管理(QRM:Quality Risk Management)に基づいた管理。予想される気候条件や温度分布に基づいた温度管理。不測の遅延を含めた手順書の作成等
- 5.3 Containers and container labelling
- 輸送、保管条件や警告、必要な情報を記載したラベルを付けること。冷却容器のモニタリング等
- 5.4 Receiving
- 荷受けエリアと保管エリアを別々に設置すること、手順の文書化等
- 5.5 Documentation
- 契約書ではすべての条件を概説し遵守すること、手順の文書化等
なお、医薬品の保管と輸送に関する各種文書(ICH、WHO、米国USPが発行した文書)も参考文献として紹介されています。