今回は、米国のドライシッパー輸送(航空機)における規制について、関連する文書をいくつかご紹介します。
まずは、アメリカ合衆国運輸省(United States Department of Transportation:USDOT)傘下のアメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)が1998年に出した、「Dangerous Goods Advisory Bulletin - Information of Concern to Air Carriers - Subject: Liquid Nitrogen in Dewars」です。
これは、各航空会社に対するFAAの勧告文書であり、液体窒素を冷媒とする容器を誤った形で取り扱うと危険であると警告したうえで、以下のように述べています。
- ・液体窒素を冷媒とする容器は、常に直立状態で取り扱う。
- ・Non-pressurized flasksの外観はドライシッパーに似ているが、中に液体窒素が(液体のまま)入っているため、包装要件(Package Instruction 202)等の規制に従う必要がある。
- ・ドライシッパーは、適切に準備されていれば(液体窒素がすべて吸着し、内部に存在しない状態であれば)規制の対象外。ただし、窒素の吸着が完全でなく、Orientation marking(いわゆる天地無用)に反して取り扱った際に液体窒素が漏れた事例を、FAAは把握している。
FAAのウェブサイト内にある、危険物の航空機持ち込みに関するページの一覧では、ドライシッパーは機内持ち込み手荷物、預け手荷物のどちらでも持ち込めるとされています。なお、FAAのウェブサイトでは、ドライシッパーの要件も示されています。
アメリカ合衆国国土安全保障省(United States Department of Homeland Security:DHS)傘下のアメリカ合衆国運輸保安庁(Transportation Security Administration:TSA)も、航空輸送の安全維持の観点から、「What Can I Bring?」というページで航空機持ち込みの可否を紹介しています。また、TSAのウェブサイトでも、ドライシッパーの機内持ち込みは可能とされています(前述したFAAのドライシッパーの要件を満たす必要があります)。
ただし、「最終判断はTSA職員が行う」とされており、最終的には現地空港での判断が入るものと思われます。実務においては各航空会社のルールも確認する必要があり、ドライシッパーに梱包するものが危険物に該当しないかの判断も求められますが、液体窒素・ドライシッパーに関する規制の参考情報としてご紹介します。