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2024.06.03

WHO関連機関「GLI」による検体照会システムに関するガイド

WHOは、発展途上国における結核等の感染症拡大防止に力を入れており、結核検査(特にHIV関連結核や薬剤耐性結核)の加速・拡大を目指して、2008年にGLI(Global Laboratory Initiative:世界検査室主導機構)を立ち上げました。

GLIは、これまで検体処理や迅速診断検査法選択のマニュアル等を発行していますが、今回は2018年に発行された、検体輸送インフラの構築に関する記述がある「結核検体照会システムとその統合ネットワークのGLIガイド(GLI GUIDE to TB Specimen Referral Systems and Integrated Networks)」をご紹介します。なお、この文書における「検体照会システム」とは、各医療施設や検体採取現場で検査する形と対比して、検体を輸送して正確な検査ができる能力がある施設で集中して検査するシステムのことを指します。

この文書は、主に「結核、特にHIV関連結核や薬剤耐性結核の検査」を念頭に作成されたものですが、ほかの検体照会システムや統合ネットワークでも活用可能とされています。

  • 構成の概略は以下の通りです。
  • ・背景と序論(Background)
  • ・検体照会システムの開発方法(Coordination of a Specimen Referral System)
  • ・検体照会システムを構成する要素(Key System Design Components)
  • ・設計でほかに留意すべき点(Other Considerations for System Design)
  • ・結核検体照会システムとその統合ネットワークの実施例(TB-Specific Considerations for Collection, Storage, Packaging and Transport Case Studies)

「検体照会システムを構成する要素」内の「4.輸送手段」のパートでは、交通手段の選択については資源や施設の位置、移動距離、地形、地域の状況で異なるためあえて制限せず、商業宅配便、専用オートバイ、自動車、ボート、ドローン、公共交通システム、郵便システム等、あらゆる輸送手段があり得ることが書かれています。

また、「5.物流とスケジュール管理」では、物流システムは検体照会システムの核心であり、通常フローの検体採取と結果返却ばかりではなく、オンデマンドのサービスも想定する必要があること、そのためには検査施設の設備や能力、集配のルート等、状況に応じてスケジュールを最適化するシステムが必要だとしています。

集中化した検査・検体照会システムにおいて、輸送・物流システムが重要なキーとして紹介されている興味深いガイドです。

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