FDAは、2023年5月に遠隔臨床試験のガイダンス文書の案(ドラフト)を公開し、文書に対するコメントの募集を開始しました。コメントの受付は、2023年8月1日までとなっています。
「Decentralized Clinical Trials for Drugs, Biological Products, and Devices - Guidance for Industry, Investigators, and Other Stakeholders」と題した同文書は、分散型治験/臨床試験を利用し「医療製品の開発・研究を促進する」ことを目的としているようです。また、試験参加者の「幅と多様性(breadth and diversity)」を拡げることも企図していると考えられます。
- 文書の目次は、以下の通りです。
- I. INTRODUCTION
- II. BACKGROUND
- III. RECOMMENDATIONS FOR IMPLEMENTING DCTS
- A. DCT Design
- B. Remote Clinical Trial Visits and Clinical Trial-Related Activities
- C. Digital Health Technologies
- D. Roles and Responsibilities
- E. Informed Consent and Institutional Review Board Oversight
- F. Investigational Products in a DCT
- G. Packaging and Shipping of Investigational Products
- H. Safety Monitoring Plan
- I. Software Used in Conducting DCTs
- GLOSSARY
治験責任医師は、DCTの実施、および治験関連業務を委任された監督に対して責任を有し、臨床試験で使用されるIP(試験薬/治験薬)の包装、出荷および保管を管理するとの記載があります。また、遠隔での臨床試験では被験者の自宅でIPが保管されることから、貯蔵寿命が長く安全性が十分に担保されている薬剤は適用可能性があると勧める一方で、特殊な取り扱い、出荷、保管条件を伴う薬剤は不適切な場合があるとしています。
なお、責任医師または委任された担当者はIPのリリースを管理・記録すること、また、実施計画書において、IPの受領・使用・返却・廃棄が適切に行われるような手順や、IPの追跡方法とその記録方法を明確化すること等が記載されています。
意見募集中の草案ですが、遠隔治験が注目され、そのなかで輸送の役割が重要になることを示す動きとしてご紹介します。
※このガイダンス文書は、2022年12月29日に米国で成立した法令「Food and Drug Omnibus Reform Act of 2022(FDORA)」の規定に基づいて作成されているようです。