米国FDAが管轄する連邦規制「Title 21 CFR Part 205 Guidelines for State Licensing of Wholesale Prescription Drug Distributors」は、医薬品の卸売販売に関するガイドラインであり、適用範囲は薬局までの輸送にとどまっています。薬局から個人宅への輸送については、米国各州の医薬品関連委員会<State Board of Pharmacy>が発行する規制やガイドラインで規定されているようです。今回は一例として、マサチューセッツ州の「Prescription Deliveryについての勧告書」をご紹介します。
- この文書でまとめられているのは、薬局による処方薬の配達における推奨事項です。医薬品の安全な取り扱い・配達・輸送について、以下の項目に分けて規定しています。
- ・一般的推奨事項<General Recommendations>
- 連邦・州の法規制を遵守する、ワークフロープロセスを文書化する 等
- ・規制物質法で管理分類されている医薬品(麻薬等)<Schedule II – V Controlled Substances>
- 配達時に署名を必須とする、荷物の追跡番号を記録・文書化する 等
- ・医薬品の返却<Medication Returns to Distributors or Reverse Distributors>
- 方針と手順の策定 等
- ・温度管理が必要な製品<Refrigerated / Frozen / Other Temperature Sensitive Products>
- 温度逸脱に対処する方針と手順を策定する、最低でも年2回(夏期と冬期)の試験を実施する 等
- ・有害な製品<Hazardous Products>
- 有害な製品はリストを作成する、区別して個別包装する 等
- ・異なる場所への配送<Delivery to Alternative Locations>
- 患者がピックアップする製品は包装が完了した状態で受け渡し場所に配達する、受け渡す薬局による包装の変更を禁止する 等
- ・カウンセリング<Counseling>
- 医薬品情報と連絡先を書面で提供する 等
- ・受け渡せていない製品<Unclaimed Products>
- 返送された荷物を記録する、製薬会社や郵便局・配達業者の返送に関する方針を確認しておく 等
- ・輸送中の紛失<Lost in Transit>
- 荷物を追跡する、紛失・盗難の対応方針に沿って当局に報告する 等
- ・契約ドライバーがいる薬局<Pharmacies Utilizing Contracted Drivers>
- 文書化された研修を毎年行う、ドライバーの配達記録を文書化・保管する 等
マサチューセッツ州で適用される推奨事項を規定したものではありますが、薬局等から医薬品を輸送する場合の一つの参考文書としてご紹介します。