米国政府が主導し、細胞製造の大規模化、コスト減、再現性を目指すための課題と必要なアクションをまとめたロードマップが、文書として複数公開されています。
これらの文書は、効率的な細胞製造技術の構築を目指す米国のコンソーシアムである「National Cell Manufacturing Consortium(NCMC)」のページよりダウンロードできます。
・2016年版
「Achieving Large-Scale, Cost-Effective, Reproducible Manufacturing of High-Quality Cells A Technology Roadmap to 2025」
・2017年版
「2017 Roadmap Update to Achieving Large-Scale, Cost-Effective, Reproducible Manufacturing of High Quality Cells」
※2017年版で輸送、ロジスティクスの課題が加わりました。
・2019年版
「CELL MANUFACTURING ROADMAP TO 2030」
※現時点の最新版です。
ここ数年の再生医療の進歩に伴い、細胞製造技術の向上・自動化、プロセスモニタリングや品質管理とともに、サプライチェーンや輸送におけるロジスティクス上の課題が見えてきています。
具体的には、細胞製造サプライチェーンの堅牢性、製品保管の信頼性、製品輸送のスピードと信頼性等です。それらの課題に対し、ロードマップは、堅牢なパッケージ(容器)の開発、病院・税関関係者の教育、信頼性のある製品を分別・追跡する方法の開発等のアクションを提案しており、国際的に輸送するためのパスポートや標準、ドローンや自動運転車による細胞輸送の基準等にも言及しています。
輸送のみならず、細胞製造の課題を知るために有用な文書です。本分野における米国の戦略の一端を知るうえでも参考になると思い、ご紹介します。