今回を含めて4回に分け、WHOが発行するテクニカルレポートシリーズ(WHO Technical Report Series:TRS)のうち、輸送・物流に関連する文書をご紹介します。
WHOにおいては、Expert Committee on Biological Standardization(ECBS)委員会が各種文書の開発を担当しており、すでに2500部以上のTRSを発行しています。
2011年発行のTRS 961「WHO EXPERT COMMITTEE ON SPECIFICATIONS FOR PHARMACEUTICAL PREPARATIONS」もその一つで、医薬品製造に関する品質保証や品質管理、適格性の評価等、全般の要件を網羅した文書となっています。輸送・物流に関連する記述は「9. Quality assurance – distribution and trade of pharmaceuticals」にあり、詳細の要件はAnnex 9 「Model guidance for the storage and transport of time- and temperature–sensitive pharmaceutical products」にまとめられています。
Annex 9はかなり充実した内容となっており、温度や時間に敏感な医薬品の輸送と保管について留意すべき要件が網羅的に規定されています。
目次は以下の通りです。
1. Importation
2. Warehousing sites
3. Storage buildings
4. Temperature-controlled storage
5. Materials handling
6. Transport and delivery
7. Labelling
8. Stock management
9. General procedures and record-keeping
10. Environmental management
11. Quality management
12. Personnel/training
たとえば、「6. Transport and delivery」の「6.5.1 Temperature control in temperature-controlled road vehicles」では、温度制御車両(保冷車等)で温度管理輸送をする場合の要件について次のように記載されています。
・空気温度を設定値以内に継続的に維持する制御システムとすること
・制御センサーの精度は±0.5℃。制御センサーは適切な方法で校正されていること
・制御センサーを最悪のケースの温度に対して制御可能な場所に設定すること
・制御センサーは温度監視システムとは独立していること 等
Annexも含めてかなりのページ数になっており、関連文書も多数あります。そのなかから、輸送・物流に関連する文書について、次回以降のブログで順次ご紹介していきます。