Clinical Trials Transformation Initiative(CTTI)は、臨床試験の質・効率の向上を目指す米国の団体です。治験責任医師、政府・規制当局、産業界、施設審査委員会、患者団体等、500を超える団体と約80の会員組織が参加しているようです。今回は、CTTIが2018年9月に発行した文書「CTTI Recommendations: Decentralized Clinical Trials(分散型臨床試験の推奨事項)」に注目します。
- 本文書では、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trials:DCT)の特長として以下を列挙しています。
- ・被験者のアクセスの向上
- ・データ欠落の削減、臨床試験スケジュールの短縮、データの解釈可能性の改善
- ・被験者・被験管理者の利便性、快適性、コントロールの向上
- ・被験者集団の多様性の拡大
- ・在宅投与を目指す場合、投与・使用の実態の代表が可能
- 分散型臨床試験の推奨事項については、以下の6項目を軸にまとめています。
- ・分散型臨床試験の進め方とプロトコルの設計<DCT Approaches and Protocol Design>
- ・遠隔医療に関する州認可の課題<Telemedicine State Licensing Issues>
- ・医薬品のサプライチェーン<Drug Supply Chain>
- ・移動可能な医療サービス提供者<Mobile Healthcare Providers>
- ・治験責任医師の委任と監督<Investigator Delegation and Oversight>
- ・安全性の監視<Safety Monitoring>
- 分散型臨床治験の進め方とプロトコルの設計(DCT Approaches and Protocol Design)の項目では、重視すべき事項として以下が記載されています。
- ・関係するステークホルダーとのすり合わせ
- ・分散型臨床治験の経験者はもちろん、遠隔医療の実績ある関係者からその経験や懸念を聞き出し、プロトコルの完成度を上げること
- ・SOPで以下のような項目を規定すること
- ・治験薬(IMP)投与の指示
- ・IMPの保管と在庫
- ・IMPの調剤
- ・温度逸脱または製品を損傷した場合の管理手順
- ・サプライチェーンロジスティクスの文書化(温度記録、温度逸脱した場合の処置等)
- ・受領者の受領確認
- ・IMPやその容器の回収
本文書は日本国内の遠隔治験の会議等でも取り上げられており、分散型臨床試験の検討において参考になる文書だと考えられます。