今回は、コロナ禍において米国FDAが公開した、Drug Sample(試用医薬品)の配布に関する文書をご紹介します。
FDAは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を「公衆衛生上の緊急事態(PHE)」と位置づけ、既存の規制に関する特別措置や緩和策を取っており、医薬品の物流もその対象となっています。
従来、試用医薬品の配布について、「医師の指示(請求)に基づいて行われる患者宅への配布」と「医師の自宅への配布」は明確に認められていませんでした。しかし、FDAが公開した「Guidance for Industry “Temporary Policy on Prescription Drug Marketing Act Requirements for Distribution of Drug Samples During the COVID-19 Public Health Emergency”」の文書では、COVID-19が「公衆衛生上の緊急事態」とされるあいだは、それらを暫定的に認める(規制しない)方針が示されています。規制の詳細については、原文・関連規制をご確認ください。
これは、コロナ禍で医師が患者と直に接する機会が減ったことや、医薬品代理店が医師に直接クリニック等で試用医薬品を渡すのが難しくなったこと等の状況を踏まえ、出された方針だと考えられます。
今後の動きは未知数な部分もありますが、医薬品物流の規制が変わってくる可能性があるかもしれません。