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2025.02.27

ハーバード大学のドライシッパー利用の手引書

ハーバード大学の施設管理や研究支援のサービス部門である「Harvard Campis Services」は、研究開発支援のためにさまざまな文書を発行しており、そのなかには運搬・輸送関連のものも見られます(こちらのページで公開されています)。

今回は、それらの文書のなかから「ドライシッパー利用の手引書」をご紹介します。内容の概略は、以下の通りです。

  • <ドライシッパーについて>
  • ●ドライシッパーは、冷凍液体窒素(LN2)を多孔質ライニングに完全に吸収させて冷却する、極低温用の断熱したフラスコ・デュワーであり、LN2をこぼすことなく極低温(-150℃以下)で生物学的試料を安全に輸送するための手段。
  • ●(正しく準備したドライシッパーには)フリーのLN2は含まれないが、窒素気体を逃がすため、容器から蒸気が出てくることがある。
  • <輸送のレギュレーションについて>
  • ●液体窒素(危険物分類:クラス2.2、国連番号:UN1977)は、危険物として輸送時に規制される。
  • ●ただし、適切に準備され、以下の要件を満たすドライシッパーは、米国運輸省(USDOT)・IATAの輸送の規制が免除される。
  • - 容器は圧力を蓄積させない。
  • - 容器の向きに関係なくLN2が漏れない。
  • - 危険物規制対象外物質の輸送時は、航空運送状に「制限なし、特別規定A152による」と記載する。
  • ●規制対象の生物学的物質を含む場合は、包装の外側に適切なマークとラベルを貼り、航空貨物運送状には規制生物物質の存在を適切に記録する。
  • <ドライシッパーの充填と出荷準備について>
  • ●ドライシッパーを事前に冷却しておく。
  • ●ドライシッパーの充填と出荷準備は、必ず製造者の指示に従う。
  • - LN2の安全ガイドラインを使用前に確認する。
  • - LN2は重度の凍傷を引き起こす可能性があるため、白衣・極低温エプロン、つま先の閉じた靴、顔面保護具、極低温用手袋等、適切な個人用保護具(PPE)を使用する。
  • - 高濃度の窒素は窒息の原因となるため、換気の良い場所で作業する。
  • - 事前冷却の手順は以下の通り。
  • ・ドライシッパーをLN2で満たす。液体をドライシッパーの首の位置<neck>まで充填する。
  • ・蓋をして、LN2がドライシッパーの吸収材を飽和させるよう、指定の時間、放置する。
  • ・液面が下がらなくなるまでLN2を追加する操作を繰り返す。数時間かかることもある。
  • ・液面が下がらなくなってから、少なくとも24時間冷却放置する。
  • - ドライシッパーから余分な LN2 を適切な容器に全て注ぎ、ドライシッパー内の液体窒素を空にして準備する。その方法は以下の通り。
  • ・液体が流れなくなるまでドライシッパーを逆さにする。
  • ・そのあと、メーカーが指定した時間、ドライシッパーを直立させる。
  • ・LN2をすべて取り除くまで以上の手順を繰り返す。
  • ・検体・試料をドライシッパーに入れ、蓋をする。
  • ・ドライシッパーをさらに保護ケースに収める(該当する場合)。

実務者向けの手引書で、ドライシッパーの使用方法がかなり詳しく説明されています。詳細は上記リンク先の手引書をご確認ください。

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