今回のブログでは、「危険物の国際道路輸送に関する欧州協定(European Agreement Concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Road:ADR)」の2025年版を紹介します。
この文書を発行する国際連合欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe:UNECE)は、1947年に設立された国際連合の地域経済委員会の一つです。欧州中心の加盟国の経済関係強化を目的としており、現在は56カ国が加盟しています。
ADRの位置づけを文書の導入部分から抜粋すると、ADRは2つの締約国間の危険物<Dangerous Goods>の輸送業務に関する協定であり、具体的な輸送ルールは付属書(Annex A、B)に規定されているとのことです。ADRには、罰則規定や全体を統括する執行機関は存在せず、違反者に対しては各国当局が国内法に従って法的措置を講じることになっているようです。また、EU加盟国・非EU加盟国を問わず、領域内および領域間の道路での危険物運送規制の基礎<basis for regulation>となっていることに留意が必要と記載されています。
付属書(Annex A、B)は、Part 1「一般規定<General provisions>」から始まり、危険物の分類、危険物リスト、梱包およびタンクに関する規定、委託手続き、包装・容器、運送・積み込み・荷降ろし、乗務員・運転、車両の要求事項等を詳細に記した、9つのPartで構成されています。2巻(Volume 1、Volume 2)にまたがる700頁の膨大な文書で、こちらのページよりダウンロードできます。
- 危険物の1つに感染性物質<infectious substances>がありますが、こちらに関する記述の概要は以下の通りです。
- ・Part 2およびPart3:感染性物質の分類や適用除外に関する記述
- ・Part 4:梱包・容器に関する要件……容器の消毒、二次容器と外部包装の間に内容物のリスト添付
- ・Part 5:表示ラベルに関する要件
- ・Part 6:容器およびその試験に関する要件……Chapter 6.3:カテゴリーA(UN No.2814および2900)クラスに関する要件/Chapter 6.2感染性物質の包装の構造および試験に関する要件
陸上輸送で国境を跨ぐ危険物輸送が発生する、EU諸国ならではのルールです。詳細はリンク先文書をご確認ください。