今回は、ヒト胚保存施設<Embryo storage facilities>を対象とした、米国New Jersey州の包括的な州規制に関するニュースリリース「New Jersey Sets National Standard with First-of-a-Kind Embryo Storage Regulations」をご紹介します。
リリースによると、New Jersey州は2025年12月25日に、生殖補助医療技術で使用される卵子および胚の保存・凍結保存を行う施設に対し、米国初の規制(免許付与と監督)を施行したとのことです。これまで、卵子・胚保存施設を監督する体制は、連邦政府機関の基準と任意の専門機関の基準を合わせた、いわゆる寄せ集め<patchwork>の状態でした。このギャップ<gap>を埋めるため、胚保存施設の安全性確保や、機器の効果的かつ一貫した運用の促進、さらには緊急事態や自然災害に備えるための要件を州の規則として定めたといいます。
規制の対象となる胚保存施設には、生殖医療ラボ<reproductive laboratories>、体外受精クリニック<in-vitro fertilization clinics>、生殖医療診療所<reproductive medicine practices>、病院、その他ヒト卵子または胚を保存・凍結保存する施設が含まれます。
- 主な規定は以下の通りです。
- ・液体窒素を使用する室内の非常用電源システムや酸素センサーを含む施設の安全基準
- ・極低温保存装置への遠隔警報システムの設置要件
- ・施設閉鎖、顧客の死亡、保管料未納等に備えた生殖組織の処分方針に関する書面作成の義務化
- ・年次免許取得および更新に関する要件
- ・保管中の生殖組織に影響を及ぼす機器故障、誤操作、緊急事態の発生時の報告に関する要件
- ・生殖組織の使用後、少なくとも10年間記録を保持する等、記録管理に関する要件
2025年12月22日のブログでご紹介した米国生殖医学会(The American Society for Reproductive Medicine:ASRM)のウェブページでは、体外受精の規制について、「施設に関わる認定と監督は、専門家団体レベル(SART)では存在するが、州<states>レベルでは専門職<professionals who provide care for patients>の免許制度と家族法のみ」としています。
今回、州レベルではじめて胚保存施設に関する規制が整備されたことになり、今後はほかの州でも同様の動きが見られるかもしれません。
規制の詳細は、New Jersey州のウェブページ「Biobanking Compliance Program」でご確認いただけます。
