今回は、「ISO 15189臨床検査室-品質と能力に関する要求事項 <Medical laboratories — Requirements for quality and competence>」に関連した文書で、検体(サンプル)の収集と輸送に関する要求事項がまとめられた「ISO 20658:2023 Requirements for the collection and transport of samples for medical laboratory examinations」について、適用範囲<scope>が修正されていたのでご紹介します。
- ISO 20658は、2017年に出版された「ISO/TS 20658」が2023年に改訂されたもので、最新版の適用範囲<scope>は、臨床検査室での検査を目的とした検体の収集・輸送に関する要求事項と実践方法となっています。臨床検査室から独立した収集・輸送サービス提供者<service provider>に、本標準を適用することも想定されています。これには以下のような背景があるようです。
- ・検体の収集が、患者の自宅、医師のオフィス/クリニック、ポップアップ/臨時・移動収集サイト等、医学検査室から独立した施設で行われる場合があると認識。たとえば、COVIDの緊急事態に臨時の場所で採取するプロセス等。
- ・適用範囲を検査施設に搬入される前の活動に限定し、医療検査室よりも幅広い読者を想定。
- 目次は、以下の通りです。
- 1 Scope
- 2 Normative references
- 3 Terms and definitions
- 4 General requirements
- 5 Structural requirements
- 6 Resource requirements
- 7 Process requirements
- 8 Management system requirements
- Annex A Your five moments for hand hygiene
- Annex B Disinfectants
- Annex C Pre-examination process
- Annex D Sample types other than blood
一般要件「4 General requirements」においては、「収集・輸送サービス提供者<service provider>」はこの文書の要求事項を満たすことを保証する、と明記されています。
新型コロナウイルスのパンデミックを契機として、医療機関や検査所と異なる場所で検体を検査するケースが増え、検体の輸送が検査工程の重要な要素と認識されています。なお、全文を確認する場合はISOのサイトから購入する必要がありますが、目次や用語の定義等、一部は上記リンク先のPreviewで見ることができます。