今回は、生殖医療の発展を推進する学際的組織「米国生殖医学会(The American Society for Reproductive Medicine:ASRM)」が公開している「米国における体外受精の規制<Oversight of IVF in the US>」というウェブページをご紹介します。このページでは、米国における体外受精(In vitro fertilization:IVF)に関する規制を、以下の3つのレベルに分けて整理しています。
- 1)連邦<federal>レベル
- ・FDAは医薬品および医療機器を承認・規制する。
- ・ドナー由来の生殖細胞はFDAがスクリーニングする対象であり、それを利用する施設は設備・記録管理の規制がある。
- ・IVFで必要な臨床検査は臨床検査改善法(Clinical Laboratory Improvement Acts:CLIA)の規制対象である。
- ・不妊治療クリニック成功率・認証法(Fertility Clinic Success Rate and Certification Act)に基づき、医師は施術内容と結果を疾病管理予防センター(CDC)へ報告する義務がある。
- 2)州<states>レベル
- ・医療提供者<medical providers>の免許、ならびに患者ケアを提供する専門職<professionals who provide care for patients>の免許は州の管轄下にある。
- ・米国では家族法も州の管轄であり、組織提供や代理出産を利用する場合に生じ得る親権の確立や移転に関する問題は州法の適用対象となる。
- 3)専門家団体のレベル
- ・生殖補助医療学会(The Society for Assisted Reproductive Technology:SART)は、IVFクリニックの認定と監督を行う。SART会員のクリニックは、厳格な基準を満たす必要がある。その基準は、クリニックスタッフの資格認定、検査室の認定、ASRMが定期的に更新する診療・倫理ガイドラインの遵守を含む。
なお、ASRMは「体外受精ラボにおける生殖組織の凍結保存(の施設要件):委員会見解<Cryostorage of reproductive tissues in the in vitro fertilization laboratory: a committee opinion>」(2025年8月25日のブログでご紹介しています)において、凍結保存、とくにその設備要件を文書にまとめています。
IVFに関する米国の規制の概略を把握するうえで有用なサイトですので、ぜひご一読ください。
