今回は、WHOが2025年7月に発行した「ワクチンの国際輸送・包装に関するガイドライン(Guidelines for the international packaging and shipping of vaccines)第7版」をご紹介します。
このガイドラインは、国際航空輸送ならびに国際輸送前後の陸上輸送における、ワクチンの品質確保を目的としたものです。大きくは、輸送ルートをプロファイリングしてコンテナの適格性を評価すること、リスク評価を実施して品質システムを整備すること、それらを定期的に見直して改訂することを求めています。
- 主な記載項目は以下の通りです。
- 1. 序論<Introduction>
- 2. 断熱包装の基準<Insulated packaging standards>
ワクチン包装(管理温度帯)の種類、包装全般のルール、温度管理システムにおけるactive型とpassive型の比較 - 3. 輸送ルートのプロファイリングとコンテナの適格性評価<Transport route profiling and qualification of shipping containers>
冷蔵車両や輸送コンテナの適格性評価、新規導入時・変更時の再評価 - 4. 温度監視装置<Temperature monitoring devices>
電子温度モニター<electronic data logging monitor(ELDM)>、高温警報、ワクチンバイアルモニター(VVM)、警報なしの温度逸脱 - 5. 必要保管量の算出における投与量あたりの体積と増量係数<Volume per dose and bulking factors for calculating necessary storage>
- 6. 国際輸送用表示ラベル<Labelling for international shipments>
各種ラベル(二次包装用、グループ化したケース用、輸送コンテナ用、IATA指定の時間・温度管理表示用、「凍結禁止」表示用)の説明、バーコード化 - 7. 国際輸送の手順<International shipping procedures>
輸送中の温度管理、経路と到着の事前通知、随伴書類、到着後検査・報告
第7版では、ワクチンの包装分類として、新たに「Class D – Ultra low temperature(COVID-19:Comirnaty、Ebola vaccine:Ervebo)」が加わりました。また、動作温度範囲や正確さ、解像度等を含む監視機器の仕様一覧表20項目にClass D(-90℃~-60℃)が追加されています。
本文書は、ワクチンに限らず、温度管理が必要な医薬品や生体組織の輸送においても参考になる内容です。詳細はリンク先をご確認ください。
