今回は、WHO Technical Report Series(TRS)の「TRS 961 Annex9」の各章に対する16の「Technical Supplement」文書のなかから、温度管理が必要な医薬品の保管・輸送時のモニタリングシステムについて書かれた「Supplement 15 Temperature and humidity monitoring systems for transport operations」をご紹介します。
同文書では、アクティブまたはパッシブな方法で温度管理する輸送・出荷システムにおいて、輸送中に医薬品が曝露される温湿度環境を記録するモニタリング装置の選択や使用について説明しています。
- 概要は以下の通りです。
- ・品質保証のためには、ユーザー要求仕様書(URS)に基づき、保管中・輸送中に温度の逸脱がない証拠を提供し、規制上の要件を満たすことを示すモニタリング装置が必要である。
- ・モニタリング装置は、輸送システムの性能等を分析するツールとしても使用できる。
- ・温度測定装置には以下の種類がある。
- ‐ケミカルインジケータ<Chemical Indicators(CI)>、ケミカル温度時間積分計<Chemical Time-Temperature Integrators(CTTI)>
- ‐電子温度インジケーター <Electronic Temperature Indicator(ETI)>
- ‐電子データロギングモニター <Electronic Data Logging Monitors(EDLM)>
- ‐電子データインテグレーター <Electronic Data Integrators(EDI)>
- ‐冷凍車用電子温度監視・イベントロガーシステム <Electronic temperature monitoring and event logger systems for refrigerated vehicles(TMEL)>
- ・温度測定装置に求められる要件は以下の通り(特に機器が適切に校正されていることを重視する)。
- ‐実際の使用でのニーズ、使いやすさ等を考慮して機器を選択する。
- ‐単回使用機器では、製造業者の校正証明書が必要となる。
- ‐複数回使用機器では、年に一度、トレーサブルな参照標準に対して校正される必要がある。
- ‐校正は、いずれも設計された全温度範囲をカバーするものが求められる。
- ‐電子データを記録する場合、ダウンロードされた時間・温度データは、データの検索が可能な不揮発性フォーマットで少なくとも3年間は保持する必要がある。
- ‐CI、CTTI、ETIから提供されたGo/No Goデータは、製品到着報告書に記録する。
同文書の本文中で、上記温度測定装置の特徴、利点、制限、および提案されているアプリケーションの一覧を確認できます。ご興味のある方は、リンク先の文書をご確認ください。